円満退職のポイント
The Key to an Amicable Retirement
本当に辞めるべき?
あなたが今働いている歯科医院を辞めたいと考えている原因は何ですか?
パワハラ上司や改善が見込めそうにない原因が職場にある場合や自分だけの努力で環境を変えることが難しく本当に辛いと感じる場合は、無理をせずすぐに辞めることをおすすめします。
しかし、仕事を始めて短期間で「理想と現実のギャップを感じて辞めてしまう」のは、あまりおすすめしません。
知識不足や慣れていないことが原因であれば、解決できる場合もあるかもしれません。
とくに初めて社会に出て仕事をする人にとっては誰にだって辛い時期が必ずあります。でも、そこでもう一踏ん張りしてみる価値はあると思います。仕事は一度しっかり覚えてしまえばその後は本当に働きやすくなるものです。
あくまで目安ですが、せめて1年間は頑張って同じ病院で働いてみてください。
それでも状況が変わらず実際に辞めることになってしまっても、新しいところに転職する場合に前職の期間があまりにも短いと採用責任者も困惑してしまいます。
自分の力では解決することができない致し方ない理由があれば別ですが、我慢できる範囲の悩みであれば続けてみることをおすすめします。
退職することを決めたら、正しい辞め方が大切です。
「初めてのことなので辞め方がわからない」「辞めたいけれど何から始めたらいいのかわからない」という人も少なくないと思います。
また「ちゃんと辞めさせてもらえるか心配」「うまく理由を伝えられる自信がない」など、不安を抱えている人もいるかもしれません。
もう辞めるから…と、雑な対応をしてしまうと周りのスタッフに迷惑をかけるだけでなく、退職日が決まらなかったりトラブルになることも…
そうならないためにも退職するための手順をしっかり把握しておきましょう。
円満に退職するためには、準備が必要です。
歯科医院を円満退職するためには、まずは「辞めたい」と思う理由を自分の中で整理した上で、医院のルールなどを把握し、退職に向けての行動の順序を理解しておくことが大切です。
やめたい理由と伝え方
まずは、辞めたい理由と伝え方です。
「辞めたい」と思う理由はさまざまですが、とくに多い理由が「人間関係」「待遇面の不満」です。
歯科医院側にはっきりと理由を伝えて辞められるといいのですが、なかなか言いづらいこともありますよね。そのような場合は、できるだけポジティブな内容に言い換えて伝えるといいでしょう。
例えば、
「ホワイトニングや矯正の分野に興味が出てきたので、審美歯科で働いてみたい」
「業務に付いていくのに精一杯なので、もっと勉強をしたり患者さんにじっくり向き合える環境で働きたい」
など、新しいチャレンジやスキルアップを理由にすると理解を得やすくなります。
さらに自分が「どのような職場で働きたいか」を考えるきっかけにもなり、これからの転職活動で重視する条件も見えてきます。
ちなみに、納得してもらいやすい理由として、結婚・出産・介護・引っ越しといったライフステージに関わるものがありますが、嘘をつくのは絶対にNGです。
退職した後にほかの歯科医院に転職したことが知られてしまったり、近隣で今の医院のスタッフとバッタリ会ってしまったりとどこかで嘘だったことがバレてしまう恐れがあります。
退職理由は、あくまで正直に、前向きに置き換えて伝えることが円満に退職するポイントです。
円満退職のためにはいつ頃伝えるのがいい?
民法上は、退職の申し入れ後2週間で雇用関係が解消されることにはなります。しかし、引き継ぎや後任者の採用などを踏まえると就業規則に従う方が円満退職に繋がります。
退職に関する規則は、基本的に各職場の就業規則で規定されています。特に退職意志を伝えてから退職日までの期間については「退職の◯日前までに申し出ること」と定められていることが多いです。歯科医院によっては、3ヶ月前や6ヶ月前といったところもありますので、退職を申し出る場合は、まず就業規則を確認しましょう。
就業規則がない歯科医院の場合でも、引き継ぎ等を踏まえると退職日の3ヵ月以上前に伝えるのが常識的な範囲です。
退職の意向を伝えるには?
辞めたい理由が固まり規定も確認したら、いよいよ医院側に退職の意向を伝えます。
院長先生をはじめ、お世話になったメンバーに退職の意向を伝えるのは、とても勇気が必要ですよね。
だからといって退職のギリギリまで伝えなかったら、周りのスタッフや患者さんにも迷惑がかかってしまいます
スムーズに退職するためには、伝える際のタイミングや態度も重要です。「退職したいと言ったら、そのあと働きづらくなった…」などということがないように伝え方にも注意してください。
退職の意向は、院長もしくはオーナーとなっている歯科医師に直接伝えましょう。
人間関係が良好な職場であったり仲のいい同僚がいると、退職について事前に話しておきたいと思うかもしれません。しかし、退職意思は必ず一番最初に院長に伝えてください。万が一、噂になって院長の耳に入ってしまった場合、やはり印象が悪くなってしまいます。
ただ、退職を考え始めたときの「こんなことで悩んでいる」「辞めたいと思っている」という段階であれば事前に信頼できるスタッフに相談しても構いません。しかし、辞めると決めたら院長以外の人に先に話してしまわないよう気を付けましょう。
「辞める」ということは言いづらいことではありますが、メールなどで伝えるのは社会人として厳禁です。事前に「お話したいことがあるのでお時間をいただけないでしょうか」と打診して機会を作ってもらい、必ず口頭で伝えましょう。
伝え方については「辞めたい」ということを明確に示すことも大切ですが、あくまで「お世話になったのに申し訳ない」という姿勢を見せることも大事です。
感情的になってしまったり、回りくどい言い方をするのは避けましょう。
退職の意思を伝えてからも考慮すべきポイントがいくつかあります。次のことを踏まえ、円満に進めていけるよう心がけましょう。
- 上司と話し合って、お互いが納得できる退職日を決める。
- 仕事の引き継ぎに要する時間や有給の残り、新しい職場が決まっている場合は、転職先への入職日などを考えて決める。
- 転職先医院の受け入れ準備にも影響するため、入職日は一度決めたら変更しない。(採用する側にとって、入職日は採用における最重要要素のひとつです。)
引き継ぎのスケジュールは?
無事に退職届が受理されたなら、なるべく早めに仕事の引き継ぎに取りかかりましょう。立つ鳥跡を濁さずです。
とくに担当制の歯科医院の場合は、より多くの引き継ぎが発生すると思いますので、しっかり行いましょう。
おおむね最終出勤日3日前までには、引き継ぎが完了するようにスケジュールを立てましょう。
また、必須ではありませんが、退職後に業務上のトラブルが発生し本人にしか解決できないということもありえるので、退職後の連絡先を後任者と上司に伝えておくといいかもしれません。
退職届は必ず提出しなければならないもの?
多くの歯科医院の就業規則には、退職時の手続きのひとつとして退職届の提出があります。口頭での申し出だけだとあとで「言った言わない」というトラブルに発展する可能性もあるので、そのような事態を防ぐために書面で退職届を作成して提出しておいたほうが良いでしょう。
退職届に記載する理由は「一身上の都合」のみで構いません。法的にはどんな様式であっても退職は有効になりますが、勤務先の歯科医院でフォーマットが定められている場合もあるので、退職意思を伝えた際に念の為フォーマットの有無を確認しておきましょう。
退職願と退職届の違いは?
歯科医院の退職を考えた際に提出する書類には、「退職願」や「退職届」があります。どちらも似たような名称ですが用途によって提出する書類が変わってきます。
- 退職願
- 退職したいと考えたときに意思表示として提出する書類。
「退職したい」という思いを伝える書類なので、提出した後に退職日を変更することや取り下げることも可能。 - 退職届
- すでに退職の意思を伝え、歯科医院側から承諾を得ている場合に提出する書類。
双方で決定した後、記録として残すために作成する書類のため、提出した後に退職日を変更することはできない。
退職願と退職届の大きな違いは、退職日が決まる前に出すか、後に出すかということです。
転職活動はいつする?退職前?退職後?
転職活動は、仕事を続けながら忙しいなか行なうか、退職してからじっくり取り組むか悩むところですよね。
結論から言うと、どちらのパターンでもメリット・デメリットは存在します。ご自身の環境に合わせてどうするか考えるのがベストといえるでしょう。
退職後に転職活動を行うメリット・デメリット
- メリット
- 時間的余裕があるので自己分析や書類作成・面接対策などに集中しやすい
- 急募の求人にも応募しやすい
- デメリット
- 収入が途絶えてしまうので金銭的な不安が出てきて焦ってしまう
退職前に転職活動を行うメリット・デメリット
- メリット
- 金銭面の心配をすることなく転職活動を行える
- デメリット
- 仕事が忙しいと求人を探したり書類を作成する時間が取れなくなりがち
- 面接などは勤務時間外に対応してもらえるよう交渉しなければいけない
最後に
歯科医院を退職することは、自分や院長だけでなく周りのスタッフや患者さんにも影響をもたらします。また、歯科医院業界は意外に狭いので、トラブルになったり印象の悪い辞め方をしてしまうと転職先にまで噂が回ってしまうとこともあるかもしれないので、辞め方についてきちんと理解して円満退職できるよう計画を立てて進めていきましょう。